動画撮影の需要はますます高まっており、カメラを使って動画撮影する方も増えていると思います。
ソニー純正だけで考えてもズームレンズや単焦点レンズ、焦点距離やF値の違いなどでさまざまなレンズが存在しています。サードパーティ製を含めればその数はさらに増えます。
そうした中で、動画撮影用のレンズを探すのは骨が折れる作業 ですよね。
もちろん、どんなレンズであっても写真撮影・動画撮影に使える のですが、より動画撮影に適しているレンズというものがあります。
そもそも、動画撮影に向いているレンズ って何でしょう?使いやすさという観点で見れば、次の要素を満たすものが使いやすいかと思います。
・レンズ本体の質量が軽いこと
・そこそこのF値
・手振れ補正搭載
・オートフォーカス性能
レンズ本体の質量が軽いこと
一般的に良いレンズはレンズや光学性能にこだわって作られるため、必然と大きくて重くなりがちです。良いレンズで撮る写真というのは写りがワンランク上 なのも事実です。それを知っている人ほど、動画撮影でも良いレンズを使いたいと、ついつい考えてしまうのではないでしょうか。
しかし、ここはちょっと注意すべきポイントだったりします。
写真撮影であれば撮影自体は一瞬で終わるため、多少重くても我慢して使うことができますよね。一方で動画撮影の場合は 数秒〜数十分という範囲で、撮影が続く間カメラを持ち続けなければなりません。
ミラーレスカメラは軽いとは言え、フルサイズ機であれば600gほどはありますし、そこに1kg近い重めのレンズを取り付けたとすると、総重量は1.6kgにもなります。仮にジンバルを使うとすると2kg以上の重さを長時間支え続けなければなりません。
これはちょっとしんどいですよね。
レンズが軽いと長時間の撮影も多少はマシになりますし、撮影時のブレも軽減させることができます。
そこそこのF値
そこそこのF値ってどれぐらいなんだよって感じですが、目安として単焦点レンズであればF1.8、ズームレンズであればF4というのが一つの基準になるのではないでしょうか
特に写真撮影では、単焦点レンズであれば大口径レンズであるF1.4、ズームレンズであれば大三元レンズでよくみられるF2.8というのが、一種のステータスのように扱われますよね。
動画というのは 写真撮影ほどシビアに解像度が求められるわけではない ため、F1.4やF2.8の大口径レンズは意外と必要なかったりします。
むしろ、レンズ性能のメリットよりレンズの大きさ・重さによるデメリットの方が目立ってしまうため、動画撮影用途としては少しF値を抑え、その分軽くなっているレンズを使う方が、トータルとしては撮れ高が高まる はずです。
手振れ補正搭載
今や、手振れ補正のトレンドはボディ内手振れ補正ですが、動画撮影においては レンズに手振れ補正が搭載されている 方が安定した撮影が可能です。
レンズに手振れ補正が搭載されていると、ボディ内の手振れ補正と連動してより強力に手振れを防いでくれるため、動画撮影用途としては頼もしい存在になります。
オートフォーカス性能
写真撮影でも同じことですが、オートフォーカスは速く正確に機能してくれることが重要 です。特に、動画撮影では写真撮影よりもピント合わせが難しい場合が多いので、その分使うレンズのオートフォーカス性能も重要になってきます。
そういう意味では、サードパーティ製のレンズよりも純正レンズの方がオートフォーカスも速くて安定的なので良いのかなと思ったりします。
ただ、最近のサードパーティ製のレンズは非常に優秀なものが多い ので、一概に純正が良いと言うわけでもありません。タムロンやシグマのレンズには、純正にはない画角や特徴を持っているレンズも多くあるので、そのあたりはケースバイケースで選んでも良いとは思います。
動画撮影におすすめのレンズ
FE16-35mm F4 ZA OSS (SEL1635Z)
16mmの超広角から35mmの標準までを一本でカバーしてくれるF4通しのズームレンズです。
質量約518gと手持ち撮影も十分可能 で、おまけにレンズ内手振れ補正まで付いているという、動画撮影向けとして弱点のないレンズです。これ一本でかなり幅広い撮影シーンをカバーしてくれます。
同じ画角のF2.8通しレンズとして『FE 16-35 mm F2.8 GM』というレンズもありますが、こちらは680gと若干重く、レンズ内手振れ補正もありません。
F値が4と若干くらいので、夜間の撮影や背景を大きくボカした撮影は苦手ですが、日中の撮影はほぼこれ一本でこなせる んじゃないかという万能性があります。
FE 24-105mm f/4 G OSS (SEL24105G)
24mmの広角から105mmの中望遠までをカバーするズF4通しのズームレンズです。これ一本で全体を写すワイドショットから被写体に注目したクローズアップショットまで、幅広く撮影することが可能 です。
F4のため背景を大きくぼかすのは苦手ですが、日中の撮影であればF4あれば十分ですし、画角を105mmにすればF4でも結構背景がボケた映像を撮影することが可能です。
レンズ内手振れ補正もついていますし、旅行の際の 手持ちでの動画撮影なんかにも非常に適しているレンズ です。
FE24mm F1.4 GM(SEL24F14GM)
24mmというワイドな画角とF1.4という大口径を両立しているレンズです。GMレンズのため品質・画質ともに非常に高く、動画撮影においてもその性能は遺憾無く発揮されます。
24mmの画角でもF値1.4あれば背景が結構ボケます ので、広角で背景をボカすという、このレンズ特有のユニークな描写を撮ることが可能です。
また、「F1.4のGMレンズ」だけ聞くといかにも大きくてズッシリしたレンズを想像しますが、こちらのレンズは質量たったの445gしかありません。
レンズ内手振れ補正はありませんが、これだけ軽いと長時間の撮影も苦ではなくなる かと思います。
F1.4という非常に明るいレンズですので、夜間の撮影にも非常に強いレンズです。
FE 55mm F1.8 ZA (SEL55F18Z)
Eマウント使いの間では、コスパに優れているとして定番のレンズ です。55mmという標準域の画角、F値1.8という明るさと非常に使いやすい性能ですね。
55mmでF1.8なので、背景をボカした描写を取り入れたポートレートなどの人物撮影として使うのに向いているレンズです。
質量も281gと大変軽く、手持ちでもジンバルに取り付けてもどちらでも使いやすい です。
FE 90mm F2.8 Macro G OSS (SEL90M28G)
中望遠の等倍マクロレンズです。
若干重いところが難点ですが、マクロレンズによる特定の部分をクローズアップして撮るショット は、動画に強いインパクトを与えることができますので、印象的なショットを取り入れたい時なんかに使うと良いです。
90mmという中望遠の画角は圧縮効果を活かした描写も得意ですので、マクロレンズだけでなく、色々と面白い描写を動画に取り入れることが可能です。
まとめ
ついレンズというのは F値や画質などスペック一辺倒で選んでしまいがち ですが、動画においては必ずしもそれが正解というわけではありません(写真もそうですが)
本日ご紹介したものであれば、映像制作レンズとして満足のいく使い勝手であることは間違いないです。
値段もEマウントレンズとしては比較的安価なものも多いので、まずは1本か2本、試しに導入してみるのが良いかと思います。