ついに発売された『ニコン Z9』。ミラーレスカメラとしては初めてのフラッグシップモデルにもかかわらず、非常に高い完成度を誇るカメラに仕上がっています。
ミラーレスカメラとしては初の3Dトラッキングの搭載、約120コマ/秒で約11メガピクセルの静止画撮影、8K30Pの長時間録画・・・と、ニコンの持つ全ての技術を込めて作られたカメラです。
私はソニーのフラッグシップモデルである『α1』を愛用していますが、やはり他社のフラッグシップ機というのは気になるもの。
ニコン Z9はどんなカメラなのか、α1と比べてどんな点が優れているのか。ポイントについてまとめてみました。
ニコン Z9のスペック(噂)
型式 | レンズ交換式デジタルカメラ |
レンズマウント | ニコン Z マウント |
有効画素数 | 4571万画素 |
総画素数 | 5237万画素 |
撮像素子 | 35.9×23.9mmサイズCMOSセンサー、ニコンFXフォーマット |
交換レンズ | ・Z マウント用NIKKORレンズ ・F マウント用NIKKORレンズ(マウントアダプターが必要、一部機能制限あり) |
ボディ手ブレ補正 | イメージセンサーシフト方式5軸補正 |
レンズ手ブレ補正 | レンズシフト方式(VRレンズ使用時) |
ファインダー | 電子ビューファインダー、1.27cm/0.5型 Quad-VGA OLED、約369万ドット |
視野率 | 100% |
倍率 | 約0.8倍(50mmレンズ使用時、∞、-1.0m-1のとき) |
シャッター | 電子シャッター、電子シャッター音あり、センサーシールド |
シャッタースピード | 1/32000~30秒(ステップ幅:1/3、1/2、1ステップに変更可能、 撮影モードMでは900秒まで延長可能)、Bulb、Time |
連続撮影速度 | ・低速連続撮影:約1~10コマ/秒 ・高速連続撮影:約10~20コマ/秒 ・ハイスピードフレームキャプチャ+(C30):約30コマ/秒 ・ハイスピードフレームキャプチャ+(C120):約120コマ/秒 ※ニコン試験条件での最大撮影速度 |
測光方式 | 撮像素子によるTTL測光方式 |
測光範囲 | -3~17EV |
ISO感度 | 64~25600 |
AF方式 | ハイブリッドAF(位相差AF/コントラストAF)、AF補助光付 |
フォーカスポイント | 493点 |
AFエリアモード | ピンポイントAF(静止画モードのみ)、シングルポイントAF、 ダイナミックAF(S、M、L、静止画モードのみ)、 ワイドエリアAF(S、L)、オートエリアAF、 3D-トラッキング(静止画モードのみ)、 ターゲット追尾(動画モードのみ) |
記録画素数/フレームレート(動画) | ・7680×4320(8K UHD):30p/25p/24p ・3840×2160(4K UHD):120p/100p/60p/50p/30p/25p/24p ・1920×1080:120p/100p/60p/50p/30p/25p/24p ※120p:119.88fps、100p:100fps、60p:59.94fps、50p:50fps、30p:29.97fps、25p:25fps、24p:23.976fps |
最長記録時間 | 125分 |
ファイル形式 | MOV、MP4 |
映像圧縮方式 | Apple ProRes 422 HQ(10bit)、H.265/HEVC(8bit/10bit)、H.264/AVC(8bit) |
モニター | チルト式8cm/3.2型TFT液晶モニター(タッチパネル)、 約210万ドット、視野角170°、視野率約100%、 明るさ調整可能(マニュアル11段階)、カラーカスタマイズ可能、縦横チルト可能 |
寸法(幅×高さ×奥行き) | 約149×149.5×90.5mm |
質量 | 約1340g |
さすがニコンのプロ向けフラッグシップモデルだけあり、詰めるだけ詰め込んだカメラに仕上がっていますね。
ニコンD6から順当に進化したと言える部分もあれば、メカシャッターを搭載しないなど、かなり思い切った仕様にしている箇所もある ように見受けられます。
注目すべきポイント
かなり高性能な機能が盛りだくさんのニコン Z9ですが、その中でも特に注目すべきポイントについて見ていきます。
9種類の被写体検出が可能な高性能AFシステム
最近のミラーレスカメラでは当たり前になりつつありますが、被写体認識AFについてもZ9には搭載されており、しかも9種類の被写体を検出することが可能とのことです。
多彩な被写体へのAFをサポートするため、Z 9はディープラーニング技術を用いて開発したアルゴリズムを搭載し、世界最多※1 9種類の被写体検出を実現※2。人物、犬、猫、鳥、車、バイク、自転車、列車、飛行機の検出が可能です。
公式サイトより一部引用
α1でも「人/動物/鳥」の検出が可能でしたが、Z9では さらに細かく分類しての検出が可能になっている ようです。ここまでカメラが賢いと、撮影時は何も意識せず、ただシャッターを切るだけでそれなりの写真が撮れてしまいそうですよね。
各業界のプロフェッショナルフォトグラファーが仕事としても問題なく使えるよう、自信を持って作り込んできた印象です。
ミラーレスカメラとしては初の3Dトラッキング搭載
待望の3Dトラッキングがついにミラーレスカメラで使えるようになりました。
ニコンは動体撮影に強みを持つメーカーというイメージですが、そのイメージを強くしたのはこの3Dトラッキングによるところが大きいのではないかと思います。
3Dトラッキングの搭載により、Z9では 動体撮影での被写体検出性能が飛躍的に高まっている と思われます。
Real-Live Viewfinderの搭載
ニコン Z9のEVFは『Real-Live Viewfinder』という、ミラーアップによる像消失で見ることができなかった瞬間まで、そのすべてを表示することが可能な技術で作られています。
EVFの最大の弱点は、OVFと違いリアルな状況をそのまま確認できないことにありましたが、この技術により、Z9のファインダーはかなり自然な見え味となっている ようです。
メカシャッターレス
これは正直驚きました。ニコン Z9にはメカシャッターが搭載されておらず、電子シャッターのみを採用しているようです。
カメラの進化の流れとして、いずれメカシャッターレスになっていく流れというのはあると思っていたのですが、まさかニコンが初めにメカシャッター廃止に踏み切るとは思っていませんでした。
メカシャッターがないと、高速で動くものを撮影する際、『ローリングシャッター歪み』という現象が発生し、歪んだ写真になってしまう問題があります。
ニコン Z9ではニコン独自の積層型CMOSセンサーを新搭載し、Z 7II比で約12倍という高速読み出しを実現することにより、ローリングシャッターによる歪みを極限まで抑えているようです。
ローリングシャッター歪みさえ発生しなければ、電子シャッターは シャッターショックによる手振れの抑制や消音性 など、メリットも大きいため、なかなか期待できそうな気がしています。
最高120コマ/秒のハイスピード
もうここまでいくと動画じゃんという感じですが、Z 9には『ハイスピードフレームキャプチャ+』という機能が搭載されており、メインコマンドダイヤルで[C120]に設定することで 約120コマ/秒で約11メガピクセル の静止画を撮影できます。
画素数の制約はありますが、11メガピクセルあれば一般的な用途で困ることはほとんどありません。
逆に、120コマも撮れてしまうと後から写真を選ぶのが大変ですので、そういう意味で使用シーンは選ぶかもしれません。
ソニー α1から買い替えする価値はあるのか?
で、これだけあれこれ述べておいて、この『Z9』を発売されたらお前は買うのか?という感じですよね。
まぁ、割と気になるカメラではあるのですが、結論を言ってしまうと、買い換えることはありません。
縦位置グリップ一体型のカメラはいかにもプロフェッショナルという感じがして非常にカッコ良いですし、ボディの大きさを活かしたボタン配置的に、操作性もα1を上回るものになるのではと思っています。
ただ、カメラサイズというのは大きくても小さくても、それぞれメリット・デメリットが存在します。私は屋外での撮影が多く、機材は可能な限り小さくまとめたいという考えをしているため、どちらかと言えば ソニーの作るカメラやレンズに共感を覚えることが多い です。
ソニーのα1だけでなく、動画撮影用として『α7S III』を購入したり、Eマウントのレンズも徐々に増えてきているため、簡単には他マウントへは移行できないという事情もあります。
まとめ
ニコンのZマウント機は、初代のZ6/Z7からかなり高い水準の性能に仕上げてきていましたが、今回のZ9でさらなる高みに昇った印象です。ソニーのα1やキャノンのEOS R3と比べても遜色のない 性能を持っているカメラと言えるでしょう。
これで、ニコンも製品ラインナップの主軸は一眼レフからミラーレスへ完全に移行することになりましたね。これだけのスペックであれば、ニコン D6を使っているカメラマンからの移行も十分ありえるでしょうし。
特に、Zマウントのレンズはかなり評判が良いので、レンズ目当てで他マウントからの乗り換えというのも十分考えられます。
ここ数年あまり元気のなかったニコンでしたが、今後は違った印象になるかもしれません。