ソニーからAPS-C用のレンズである「E PZ 10-20mm F4 G」「E 11mm F1.8」「E 15mm F1.4 G」の3本が発表されました。「E 70-350mm F4.5-6.3 G OSS」「E 16-55mm F2.8 G」以来となるAPS-C専用Eマウントレンズで、ソニーがAPS-C専用のレンズを発売するのは3年振りです。
ソニーと言えば、最近はフルサイズ向けの製品ばかり登場して、APS-Cは少し元気がない印象でしたので、APS-C向け製品の拡充は嬉しいところですね。こう言ってはアレですが、キャノンやニコン、ソニーといった、フルサイズもAPS-Cもやっているメーカーの場合、APS-C専用レンズというのは基本的に、フルサイズと比べてあまりパッとしないレンズが多い印象です(その分価格やサイズ感で優位になるんでしょうが)。
ただ、今回ソニーから発表されたレンズは、どれも実用的な性能に仕上がっているように思えます。
ソニーは、α™(Alpha™) Eマウントレンズとして、世界最小・最軽量の超広角パワーズームのGレンズ™『E PZ 10-20mm F4 G』、大口径広角単焦点のGレンズ『E 15mm F1.4 G』および超広角単焦点レンズ『E 11mm F1.8』の計3本のAPS-C対応レンズを発売します。静止画に加え、Vlog(ブイログ)などの動画も、高品位かつ快適に撮影できるαシステムレンズです。本レンズ3本の発売により、ソニーのEマウントレンズは計70本に拡充し、豊富なバリエーションでクリエイターの幅広い映像制作をサポートします。
公式サイトより
「E PZ 10-20mm F4 G」は、35mm換算で15〜30mmという超広角〜準広角付近のズームレンジ・ズーム全域でF4固定、さらに電動ズーム搭載と、動画での撮影用途を強く意識したスペックをしています。パワーズームを搭載しているにも関わらず、重さが175gしかないというのも驚きです。これだけ軽ければジンバルだけでなく、手持ちでも問題なく使用可能になるでしょう。
世界最小・最軽量で持ち運びしやすく、使い勝手に優れた超広角パワーズームGレンズです。ズーム全域開放値F4の明るさで焦点距離10-20mmをカバーし、静止画撮影に加え、Vlogや映像制作などの動画撮影まで幅広い撮影用途に対応します。
E PZ 10-20mm F4 Gの特徴(公式サイトより)
電動ズームを搭載している超広角レンズという、これまであまりなかったユニークなスペックです。こういう、他ではあまり見られないレンズをAPS-C専用として出してきたと言うことは、今後ソニーはAPS-C向けの製品に力を入れていくつもりなのかもしれません。
大口径F1.8を生かした美しいぼけ描写に加えて、焦点距離11mmの背景を広く取り入れたダイナミックな表現ができる超広角大口径単焦点レンズです。自撮りなどの動画撮影をはじめ日常シーンやスナップ撮影にも適しています。
E 11mm F1.8の特徴(公式サイトより)
高解像と大口径F1.4の明るさを生かした美しいぼけ描写を実現します。静止画・動画問わず印象的な映像表現を可能にする、焦点距離15mmの広角大口径単焦点Gレンズです。
E 15mm F1.4 Gの特徴(公式サイトより)
「E 11mm F1.8(35mm換算16.5mm)」「E 15mm F1.4 G(35mm換算22.5mm)」についても、明るい超広角レンズというだけでそれなりに需要が見込まれますが、それぞれ重さが178g、218gしかありません。よくこれだけのスペックのレンズをこの重さで作れたなと思います。これだけ軽いレンズであれば、夜景や星撮りなどの用途はもちろん、日中の風景撮影や背景を活かしたポートレート撮影、vlogなどの動画撮影と、幅広い用途で使用可能なはずです。値段も10万円未満で購入可能ですので、かなり手が出しやすいですし。
上記でも少し述べましたが、ソニーがこれだけ力を入れたレンズをAPS-C専用として出してきたことは少し驚きでした。ソニーもα6600など、そこそこハイスペックなカメラをAPS-C向けに投入していますが、フルサイズ機と比べると少し見劣りしてしまう印象です(そもそもα6600は発売されてから3年ほど経過してますし)。
今回発表されたレンズはいずれも、写真撮影でも問題なく使用可能なスペックですが、メインは動画での使用を前提にしているのでしょう。プレスリリースでも「クリエイターの幅広い映像制作をサポートします」と述べてますし。動画向けであればレンズ内手振れ補正も欲しいところですが、そこはジンバルでの使用や、ボディ側の手振れ補正を前提にしてるのかもしれません。手ぶれ補正をレンズ内に組み込むとこの重量で出すことは出来なかったでしょうし。
これだけ魅力的なスペックなら、動画用途としてでなく、スチル撮影用として欲しい人も結構いるでしょうし、かなり売れるのではないかと思います。昨今のカメラ・レンズの供給不足は依然として続いているのもあり、このレンズも発売直後に入手しておかないと、すぐには入手困難になってしまう可能性があります。
いずれにしろ、今回これだけ一度にAPS-C専用レンズを発表したので、ZV-E10などの既存機での使用が強化されたのはもちろん、ハイエンドのAPS-C機についても近いうちに登場するのではないかと予測します。