Nikon Z30を買って早くも1ヶ月ほど経過しました。
動画撮影向けの安価なカメラ、という理由だけで購入した製品ですが、なかなか使い勝手も悪くなく、結構気に入っています。
一方でこのカメラ、世間の評判はあまり良くないような印象です。動画撮影用、それもVlog用途としては機能をうまく取捨選択してまとめているカメラだと思うのですが、何故なのでしょう。
なんとなくですが、ニコンのカメラに求められている需要と、Vlog向けカメラに必要な機能とのギャップが原因じゃないかと思っています。
購入して1ヶ月ほど使い込んで来たことにより、このカメラの強みと弱みも色々と分かってきたこのタイミングで、Nikon Z30の良いところと悪いところを記事にまとめてみました。
今回は、私が使って感じたNikon Z30の良い点と悪い点についてご紹介したいと思います。
Nikon Z30の良いところ
連続30分以上録画可能
連続30分以上録画可能な点はZ30の強みの1つでしょう。ぶっちゃけ、動画撮影において30分以上録画が必要になることってほとんどない気もしますが、撮れる機能がある、という事実が大事です。2022年でも、これが出来ないカメラはいくらでもありますからね。
つい最近まで、ミラーレスカメラで動画を撮る場合、連続撮影時間は29分59秒まで、という宣言を設けているカメラがほとんどでした。
この制限がないのは、パナソニックのLUMIXシリーズなど動画に強いカメラや、ソニーのα7S IIIなどビデオグラファー向けのカメラがほとんどでした。
しかし、動画撮影機能がカメラのトレンドとして注目されるのようになり、この制限が適用されないカメラが一気に増えてきた印象です。
ニコン Z30もそんなカメラのうちの一台で、2022年12月現在、ニコン Zマウントとして30分以上の連続撮影が可能なのはこのカメラを覗くとフラッグシップモデルのZ9だけです。ニコンにとって、Z30がいかに動画向けとして力を入れたモデルなのかというのがよく分かります。
そしてこのZ30、価格が非常に安いのもポイントです。上記の通り、連続30分以上撮影可能なカメラというのは続々出てきていますが、そのほとんどは新品価格10万円以上のモデルばかりです。一方、このカメラはボディ単体だと8万円前後で入手可能で、レンズキットの場合も11万円前後で入手可能と、手が出しやすいのも魅力です。
ただ、本体が小型な分、使用するバッテリー容量はどうしても少なくなってしまいます。なので、30分以上撮影可能と言っても、プロ向けカメラのように何時間も長回し出来るわけではありません。
まぁ、Nikon Z30はUSB-Cケーブルに繋いで充電しながら撮影することもできるのですが。ちゃんと試した訳ではありませんが、FHD撮影の場合、ケーブルに繋ぎながらであれば、1時間以上の連続撮影も可能です。
クロップなし4k 30p撮影可能
Z30の動画撮影スペックは最大で4K30pまでと、それほど目立った性能ではありません。ただ、この4K30pは全画素読み出し(クロップなし)にて撮影出来るというのは、注目すべき点です。
Z30と似たカメラとして、ソニーのZV-E10というカメラがあります。こちらのカメラも4K30pにて動画撮影可能ですが、4K30pで1.23倍にクロップされるという大きな違いがあります。
ただ、動画撮影時のクロップというのは決してマイナスな側面だけではありません。むしろ、望遠側の撮影としてはより遠くを映せることになりますので、むしろメリットと取れることも出来るかもしれません。
ただ、Vlog用途としては、どちらかと言えば広角域の方が需要がありますので、そういう意味ではクロップなしのZ30は用途に即したカメラと言えそうです。
ネット上など一部の意見として、Z30は4K60pが撮れないことが批判されてますが、ぶっちゃけ4K30p撮れれば困ることってあんまありありません。無理のない範囲を綺麗に撮れるというのは実用的だなと思うのです。
軽量コンパクトな作り
Z30にファインダーを付けなかったのは英断だと思います。基本的に、動画撮影にファインダーっていらないんですよね。カバンなどにも入れにくくなりますし。。
Vlog撮影用のカメラは気軽に使えることが大切です。大きくて重いカメラだと、気軽に持ち歩くことなんてしないですからね。。
マイク端子に干渉しないバリアングルモニター
地味に便利です。多くのバリアングルモニターを搭載したカメラでは、外付けマイクを取り付けると、端子部分が干渉して、モニターを自由に回転させることが出来なくなることがあります。
Z30ではその辺りしっかり配慮しており、例え外付けマイクを取り付けても、バリアングルモニターを自由に回転させることが出来るようになっています。この辺り、さすが堅実な設計をしているニコンらしさと言えますね。
ただ、Z30本体マイクって結構音質良く録音出来るんですよね。。vlogレベルならわざわざ外部マイクつけなくても十分なクオリティだと感じます。そういう意味では、それほど恩恵は感じないかもしれませんね。
Nikon Z30の悪いところ
このように、良い点がたくさんあるZ30ですが、個人的に悪いなと感じる点もいくつかあります。
まず、最大の弱点かもしれないと感じているのが、バッテリーの持ちの悪さです。
Z30は30分以上の連続動画撮影が可能なカメラというのは上記で述べた通りですが、バッテリー容量が1120mAhと非常に便りないです。
せっかく長時間の録画が可能なカメラなのですが、バッテリー容量が少ないため、カメラ単体での長時間録画は難しいと言わざるを得ません。
まぁ、そもそもvlog用途にそんな長時間の撮影が果たして必要なのか、とはあるのですが。
30分以上の連続撮影を期待してこのカメラを買うのは控えた方が良いかと思います(そんな人いないかもですが)
手ぶれ補正なし
これもまぁ、この価格帯では当たり前と言えば当たり前、、、かもしれません。
Z30にはボディ内手ぶれ補正は搭載されていませんので、レンズ側に手ぶれ補正が搭載されていない場合、基本的に手持ちでの動画撮影は厳しい、と思っておいた方が良いかもしれません。
電子手ぶれ補正は付いていますが、画角がクロップされる上、ブレを大きく軽減するほどの効果はありません。
ついてないが故の手が出しやすい低価格とコンパクトさだと思うので、もどかしいところではあります。が、やはりあった方が便利ですよね、手ぶれ補正。ボディ側に搭載されていれば、使うレンズを選ばなくなりますし。Zマウントはオールドレンズとの相性も良いってのもあります。
レンズラインナップの少なさ
これはZ30というより、Zマウントとしての問題です。2022年12月現在、ZマウントにはAPS-C用のレンズがほとんど存在しません。特に広角の高性能レンズが少ないので、vlog用途として致命的な欠点になってしまっています。
一応ロードマップ上には、APS-C用レンズとして12-28mmのパワーズーム搭載レンズがラインナップされています。
よって、徐々にこの弱点は解消されていくと思いますが、Z30のポテンシャルが最大限に発揮されるまではもうしばらく待つ必要がありそうです。
ヘッドホン端子なし
これは、人によっては全く必要なし、と感じるかもしれませんが、Z30にはヘッドホン端子がありませんので、音のモニタリングができません(ZV-E10は出来る)
vlog用なのでなくても良いという合理的な判断なのだとは思うのですが、あればあるでやっぱり便利だよね、とも思います。
まとめ
どうしてもファインダーが欲しいというならZ50やZ fcの方が良いかもしれませんが、Nion Z30は前提的にバランス良くスペックがまとまっている良カメラ、と言って良いかと思います。非常に定評のあるZマウントを安価に試せるという意味でも使う価値はあるかと。
中身がほぼZ50とかZ fcということは、動画撮影だけでなく写真撮影での使用にも問題なく使用可能ということでもあります。ファインダーはありませんが、Z50やZ fcクラスのAF性能はあるので、日常の撮影で不満を感じることはほぼありません。
個人的には『NIKKOR Z 28mm f/2.8』や『NIKKOR Z 40mm f/2』などのコンパクトなレンズと組み合わせての使用がおすすめです。レンズの出っ張りが少ないので、ちょっと大きめのレンズ交換が出来るコンデジとして使うことができちゃいます。