LUMIX G9 PRO用のレンズを徐々に増やしていっています。
最近、新たに『M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO』を購入しました。オリンパス(OMデジタルソリューションズ)のレンズですが、G9 PROと同じくマイクロフォーサーズマウントですので、問題なく使用可能です。
私が現在所有しているG9 PRO用のレンズは『LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm/F2.8-4.0 ASPH./POWER O.I.S.』のみです。このレンズは35mm換算で24-120mmまで撮影可能な大変便利なレンズで、一本あれば写真撮影でも動画撮影でも使える万能レンズなのですが、背景をボカすのはあまり得意ではありません。

そこで、今回購入したのが『M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO』です。

パナソニックにも似たスペックを持つ『LEICA DG SUMMILUX 25mm/F1.4 II ASPH.』というレンズがあります。
わざわざオリンパスを選んだのは、少しでも明るいレンズを使いたかったというのがあります。
フルサイズとマイクロフォーサーズは絞り2段分のボケ量の差があります。マイクロフォーサーズのF1.4はフルサイズのF2.8のボケ量と同等になります。
このレンズはF値が1.2ですので、フルサイズ換算でもF2.4程度のボケ量 とまずまずです。背景をボカした表現は十分できると判断しました。
今回は、そんな『M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO』を使ってみて気がついた、このレンズの良い点と悪い点についてまとめてみたいと思います。
スペック
名称 | M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO |
レンズマウント | マイクロフォーサーズ |
焦点距離 | 25mm(35mm判換算50mm相当) |
開放絞り | F1.2 |
最小絞り | F16 |
レンズ構成 | 14群19枚(スーパーEDレンズ 1枚、EDレンズ 2枚、E-HRレンズ 1枚、HRレンズ 3枚、非球面レンズ 1枚) |
画角 | 47°° |
最短撮影距離 | 0.3m |
最大撮影倍率 | 0.11倍(35mm判換算0.22倍相当) |
フィルター径 | 62mm |
絞り羽根枚数 | 9枚 |
円形絞り | ○ |
最大径x長さ | 70mm x 87mm |
質量(重さ) | 410g |
外観





オリンパスのPROシリーズのレンズだけあり、なかなかのスペックに仕上がっています。
レンズ構成は14群19枚で、スーパーEDレンズ 1枚、EDレンズ 2枚、E-HRレンズ 1枚、HRレンズ 3枚、非球面レンズ 1枚と、特殊レンズもモリモリです。
その分、重量は マイクロフォーサーズ用レンズとしては重めの410g ですが、一般的なレンズの重量の中ではこれでもかなり軽い部類です。レンズの重さが気になることは少ないでしょう(コンパクトなカメラとの組み合わせだと重量バランスは悪いかも)。
ポイント
このレンズの良い点と悪い点、それぞれのポイントを見ていきたいと思います。
F1.2の明るさ
まず注目すべきは、何といっても開放F1.2というスペックでしょうか。
35mm換算50mmという焦点距離で、F1.2のスペックを持つマイクロフォーサーズのAFレンズはこれだけです(パナの同等レンズのF値は1.4)。
また、ただF値が低いというだけではなく、ボケ味についてもこだわった作りになっています。
「M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO」は、ピント面からアウトフォーカス面にかけてにじむように溶けていき、さらに背景も滑らかに描写される「美しくにじむボケ」に徹底的にこだわりました。人物などの主要被写体の立体感がより一層強まる、上質なボケ味を実現しています。
https://www.olympus-imaging.jp/product/dslr/mlens/25_12pro/feature.html
やはりボケは量だけでなく美しさというのも大事な要素ですので、その部分を蔑ろにせずに拘ってくれていると言うのはポイントが高いですね。
最短撮影距離と最大撮影倍率

また、このレンズは最短撮影距離30cm、最大撮影倍率0.22倍(35mm判換算)と、一般的な50mmの単焦点レンズとしては非常に近接撮影能力が高いです。
M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO | Planar T* FE 50 mm F1.4 ZA | |
---|---|---|
最短撮影距離 | 30cm | 45cm |
最大撮影倍率 | 0.22倍(35mm換算) | 0.15倍 |
30cmまで寄れますので、かなり近づいて撮影することができます。また、最大撮影倍率が実質0.22倍ですので、クオーターマクロ的な運用まで出来てしまいます。
このあたりはマイクロフォーサーズの大きなメリットですね。
AF性能

懸念としてはこのレンズをLUMIXと組み合わせた場合のAF性能でしょうか。
レンズ自体のスペックとしてはAFについても高速かつ静粛に稼働する機構で作られていますので、不安に思うことはありません。
とは言え、マイクロフォーサーズシステムとして最適化されていますので、AF-Sモードのスチル撮影では AFが迷ったりすることはない と考えて良いでしょう。
一方で動画撮影の場合、AFが迷ったりするケースが若干ありました。これはレンズ自体に問題があるというよりは、私が使っているLUMIX G9 PROのAF性能の限界と言う面もあるかと思います(2018年のカメラですし)。
が、AFの安定性だけを考えるなら、素直にパナのレンズを選んだ方が無難 かなと思っています。
描写

特殊レンズをふんだんに使用しているだけあり、高い解像力があります。絞り開放から問題なく使用できる描写性能と、マイクロフォーサーズとしては十分なボケを両立しています。
ボケについては上述した通り、ただボケるだけでなくボケの質にも拘っており、「とろけるようなボケ」を楽しむことができます。
画角も万能な50mmですので、一本持っておけば、背景ボケ用のエースとして大活躍が期待できます。
LEICA DG SUMMILUX 25mm/F1.4 II ASPH. と比較して

悩ましい問題として、パナソニックにも同等スペックの『LEICA DG SUMMILUX 25mm/F1.4 II ASPH.』というレンズがあります。
こちらは開放F値こそ1.4ですが、オリンパスの25mm F1.2よりも軽く、コンパクトで、さらには安い と言うメリットがあります。LUMIX G9 PROとの組み合わせという意味では、AFなども最適化されてる気がしますし。
LEICA DG SUMMILUX 25mm F1.4 | M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO | |
---|---|---|
開放F値 | 1.4 | 1.2 |
最短撮影距離 | 30cm | 30cm |
最大撮影倍率 | 0.22倍(35mm換算) | 0.22倍(35mm換算) |
質量 | 205g | 410g |
価格 | ¥53,477(2022年2月) | ¥136,980(2022年2月) |
最短撮影距離、最大撮影倍率に違いはありません。
質量についてはオリンパスの方が倍近く重いのと、価格も2022年2月現在倍以上の差があります。いくらオリンパスのF1.2がすごいとしても、この差は無視できないという方も多いでしょう。
結局は、F値と重さ・価格のどちらに重点を置くか という話ですね。
M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PROを選んだ理由

私が『LEICA DG SUMMILUX 25mm F1.4』ではなく『M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO』を選んだのは、背景をボカした写真・動画を撮影する用途に使いたかった、というのが大きな理由です。
そもそも必ずしも全ての撮影で背景ボケが必要になるというわけではありませんが、ポートレートなど被写体を目立たせたい場合、背景ボケというのは有用です。
F1.4とF1.2。数値上の違いはわずかですが、少しでもボケ量を稼ぎたい場合、F値は低いには越したことがないのです。
作例



まとめ

今回は『M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PROレビュー』を使って感じた内容についてざっくりとまとめてみました。
値段の高さやマイクロフォーサーズとしてはやや重めの質量がネックにはなりますが、F1.2が使える標準レンズとしては唯一無二の存在です。
開放から安定して使える解像性能と、とろけるようなボケ具合の両立を実現しています。画角もさまざまな場面で使いやすい、万能の50mmですし、写真撮影だけでなく、動画撮影にも非常に使いやすい です。
背景を少しでもボカしたい場合や、より光を多く取り込みたい場合などは有力な選択肢になるでしょう。
- フルサイズで使える50mm単焦点のAFレンズとして最も明るいF値
- 開放からつかえる解像性能ととろけるようなボケの両立
- LUMIX G9 PROとの組み合わせでも基本的に問題なし
- 背景ボケはフルサイズ換算2.4相当。しっかりとボケる描写が可能。
- 動画撮影でも問題なし。ただしAFは若干不安定。
- パナソニックの同等レンズと比べて若干重く値段も高いのがややネック。